環状ペプチドの細胞膜透過性予測手法を開発した研究についてのプレスリリースを、2021年7月9日14:00に行いました。

本研究は、ペプチド創薬のための分子設計手法として、細胞膜透過性を予測する計算手法を開発しました。拡張サンプリング法を用いた分子動力学シミュレーションによる予測手法を考案し、約150個の環状ペプチドによる大規模な検証によってその精度が実証されました。環状ペプチドの膜透過性は医薬品設計におけるボトルネックとなっており、本研究がペプチド創薬に大きく貢献するものと期待しています。

本成果は東京工業大学 秋山研究室との共同研究によるもので、文部科学省 地域イノベーション・エコシステム形成プログラムの事業化プロジェクト１の一環として中分子IT創薬研究推進体が中心となって実施致しました。

論文は米国化学会 (American Chemical Society, ACS) が刊行する計算創薬分野のハイインパクトジャーナルであるJournal of Chemical Information and Modeling誌に掲載されました。また、同誌のSupplementary Coverに本研究が選ばれています。本論文はCC BY 4.0ライセンスのもと、オープンアクセスで閲覧・利用ができます。

プレスリリース

• 大規模分子シミュレーションによる環状ペプチドの細胞膜透過性予測法を開発 スパコンを活用して中分子創薬を加速 | 東工大ニュース | 東京工業大学
  https://www.titech.ac.jp/news/2021/061266
• 大規模分子シミュレーションによる環状ペプチドの細胞膜透過性予測法を開発しました。 | 中分子IT創薬研究推進体
  http://www.midl.titech.ac.jp/ja/news/108
• TSUBAME supercomputer predicts cell-membrane permeability of cyclic peptides | Tokyo Tech News | Tokyo Institute of Technology
  https://www.titech.ac.jp/english/news/2021/061264
• Simulations Reveal How Cyclic Peptides Diffuse Into Cells | Technology Networks
  https://www.technologynetworks.com/drug-discovery/news/simulations-reveal-how-cyclic-peptides-diffuse-into-cells-350821

 

論文情報

Sugita M, Sugiyama S, Fujie T, Yoshikawa Y, Yanagisawa K, Ohue M, Akiyama Y.
Large-scale membrane permeability prediction of cyclic peptides crossing a lipid bilayer based on enhanced sampling molecular dynamics simulations.
Journal of Chemical Information and Modeling. 2021. （電子版早期公開） doi: 10.1021/acs.jcim.1c00380
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