[記事] 未来の「AI創薬」?

未来の「AI創薬」?

大上 雅史 (実験医学2023年1月号コラム掲載)

Stable DiffusionやMidjourneyなどのAIによる人工画像生成が一世を風靡している。もはや人間が描いた画像と見分けがつかないレベルになっていることから、倫理面も含めた賛否両論の激論が巻き起こった。「実験がうまくいって喜んでいる猫の画像」といった入力文章(プロンプトと呼ばれる)から、深層学習技術で文章を解釈して画像として生成するtext-to-image技術なのだが、画像に限らずtext-to-〇〇を目指す深層学習技術は今後乱立すると思われる。創薬分野ではtext-to-drugだろうか。「こんな薬があればいいのに」と構想を入力すると、text-to-drug AIにより適切な化合物(中分子ペプチドかもしれないが)をAIが出力する――そんな未来がいつの日かやってくるかもしれないし、その未来の実現のための研究を、我々も進めている。

実験医学 Vol.41 No.1 (1月号), p.25, 2023. より。アイキャッチ画像はStable Diffusionによる生成画像.